突然のことに目を白黒させている郁生くんのほっぺを……

両手ではさんでこっちに引き寄せ、あたしはプンスカと続けた。


「あれも駄目、これも駄目ってさ、………ちょっとくらい譲歩出来ないの!?

大体郁ちゃん、あたしに隠し事してるよね!?
そっちばっかり、ズルいじゃない!

───思ってることちゃんと言わないと、分からないでしょ!」



一気にまくしたてて、勢いに肩で息をしながら───はたっ…と我に返り……


あたし……ついつい、サークルの子どもを叱るみたいに…!


しかも……郁生くん相手に……!


縮まってしまったこの距離に、

触れた頬の温もりに、


「ごめ………っ」


かかかーっ…と顔が熱くなるのを感じたあたしは、慌ててその手を引っ込めようとした。


でも……

そんなあたしの手が離れる前に───郁生くんの両手が、その上に重なった。