「じゃあ……」


どうしたら、郁生くんの気持ちを動かせるの……?


「忘れる……今のこの気持ちも……前世(カコ)のことも……。

過去に囚われないように───“叔母さん”にちゃんと戻れるように、強くなるから……!」


「────………」


その言葉に、あたしをじっと見つめた郁生くんが、

一瞬───寂しげに目を細め……


「だめ……トーコさん、記憶力いいし……第一、顔に出やすいもん。

そんな約束、きっと守れっこないよ」


今度はプイッと横を向きながら、まるで拗ねた子供みたいな口調で答えた。


───ムカッ!!



そんな郁生くんの態度に、


──いちごみるくの懐かしさが、幼い昔を思い出させたのか、

──はたまた、お酒の力もあったのか(…?)


「───コラッ! 郁ちゃんっ!!」


ブチッと何かが切れたあたしは、

気づいたら彼を───小さい頃と同じように、呼んでいた。