「…………」 黙っていた郁生くんが、はぁー……っと、深くため息をついて。 「杏崎……お節介……」 そんな呟きと共に、立ち上がった。 近くの植え込みの葉っぱをプチっとちぎって、つまんだそれをクルクルさせながら、 「───行くよ……9月に間に合うように」 郁生くんの手からヒラリすり抜けた葉っぱは、頼りなげに宙を回って、コンクリートの上に落ちた。 あぁ、ほんと……なんだ。 本当に海外に行くこと、考えてるんだ。