だとしたら……郁生くんにとっての“あたし”は?


今のあたしは───記憶を取り戻してしまったあたしは、

郁生くんには疎ましい存在にしか、ならないんじゃないの……?


なのに、なんで自転車で迎えに来てくれちゃうの……?


なんで、変わらずに優しく出来るの………




───……そんな、沢山のことが渦巻いたけど。

どれもこれも、聞いても仕方のないことのように思えて。



あたしは、一言だけ郁生くんに聞いた。



「郁生くん───おねーちゃんとこに、……両親の所に、行くつもり…なの……?」