「………」
この事態の成り立ちについて、一通り聞かされた後、
恥ずかし過ぎて何も言えないあたしに、
「あのさ───トーコさん、酔って男の家で寝ちゃうとか、無防備過ぎ。
………反省して」
郁生くんの静かな声が、重く響く。
「………」
「どういう状況だったか分からないけどさ……。
ゆーじんさんと仲がいいってったって、
自分が“女”だって自覚、もうちょっと持った方がいいと思うけど」
「………」
「来年は先生になる試験受けるんでしょ?
あんま、回りに心配かけちゃ……」
ちょうど体育館の脇に差し掛かった辺りで、───郁生くんのお説教も、足も止まった。
「………」
さっきから、一言も発しないあたしを、横目でチラッと見て、
郁生くんは、体育館の入口まで来て、あたしを降ろした。
そして───下を向いたまま石の階段にペタンと座り込んでしまったあたしの横に、しゃがみ込む。