ヒソヒソ話す二人を横目に、あたしはくぴくぴとそれを飲み干し、


「これ美味しーねぇ! ゆーじん、おかわりちょーだい!!」


「おまえ、これさぁ、強いぞ?」


「なに? お子ちゃまじゃ飲めないっての?

言っとくけど、あたしの方が一つおねーさんなんだからね! わかってる!?」


絡んでくるあたしに、雄仁はため息混じりに、


「………あーぁ、……知らねーぞー?」


「なに? えっと…さくら…さん、お酒弱いの? それとも酒乱??」


「あー、……こいつ、いつもアルコール低いカクテルばっかな気がした、確か」




その後、───雄仁に何回かおかわりをねだり……


杏崎未桜を『未桜ちゃん』と呼びながら、

一緒に郁生くんの文句を言ったり、
小さい頃のベソベソ可愛かった“郁ちゃん”話をして盛り上がったりしたのは、なんとなく覚えてるんだけど、


残念ながら、あたしの記憶はそこまでだったんだ────………