自転車置き場に着くと、───先に口を開いたのは、雄仁だった。


「なあ、この威勢がいいの、誰?」


「………あ、あの……あたしの甥っ子の……彼女。そこの高校の……」


パニクッていたせいか、考えなしにうっかり答えてしまい……


「───……は……?」


杏崎未桜の声に、はっと口を抑えたけど、出てしまった言葉は取り消せず、


「……甥…っ子……?」


彼女が眉を潜めた時、………後悔しても、後の祭りと悟った。


「安西と……イトコじゃ……??」


まずい……郁生くんが彼女に伝えていたことと、つじつまが合わなくなってしまった。


「ねえ、どーいうこと!?」


口調の強くなった杏崎未桜に、

あたしはイタズラがバレた子供みたいに首をすくめ、小さな声で答えた。


「………あたし、……郁生くんの、母親の妹……

───郁生くんの“叔母”、なんです」