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────びっくりし過ぎて、二の句の継げないあたし。
杏崎未桜は南門をくぐって、ケータイを握りしめたまま固まってるあたしの前までやってきた。
そして、開口一番、
「───もー、あたし、我慢出来なくって!」
勢いよくそんなことを言われて、
「……は……」
さらに、こんがらがるあたしの頭の中。
「ねえ、………あなた、なんで家を出たの!?」
何故か、怒り口調であたしに詰め寄る杏崎未桜。
「あ……あの……」
「───はいはい、こっちこっち」
そんな声と共に、ぐいっと腕を掴まれて………
気が付くと、雄仁があたしを南門の側の自転車置き場へ引っ張っていく。
そして………引きずられるように連れられながら、振り返ると、
サークルのグループの仲間が、呆気に取られてこちらを見送っているのが目に入った。
うわっ……何事かと思われただろーか……