「───もしもし……」


『あ、───もしもし』


ちょっぴりハスキーな、若い女のコの声。


…………???


「えと……」


『安西の、イトコさんのケータイですか?』


「えっ……」


この呼び方……


「あ……あの」


心当たりは、ただ一人……


『あたし、安西…クン、の同級生の杏崎です───6月……だったかな? 駅で会った』


「!!!」


────はっ!?


我が耳を疑う間もなく、杏崎未桜が続ける。


『安西のイトコさん、今どこに───』


ふと言葉が途切れた、と思ったその瞬間、


「───いた……!!」


ケータイ越しの声がやけにリアルに、近くに聞こえた。


ま…まさか………


振り返ると、────ケータイを片手に、



杏崎未桜が立っていた。