「………なんで??」


「あぁ、顔に書いてある」


「へっ?」


そんなバカな!!


思わず両手でほっぺを挟むと、クックッと雄仁が笑った。


「あのねぇ……」


からかわれた感にちょっとぶーたれてみたものの……


「当たり……とまではいかないけど……

───期間限定……前期試験が終わるまで、姉の知り合いの家にお邪魔させてもらってんの」


なんだか、雄仁には正直に話したくなって、

あたしは、手を振ってこちらに走ってくるれいなちゃんに、手を振り返しながらそう付け加えた。


───その後“だるまさんがころんだ”が始まっちゃったもんだから、

あたし達の会話は、そのまま尻切れトンボに終わった。



そう────あたしが家を出て、

瑤子ちゃんの先輩・波奈(ハナ)さんの家に居候させてもらうようになったのは、

あの日から3日後。



あたしは、

どうにもならない現状から、
どうすることも出来ない過去の幻から、

逃げ出したんだ………。