「……俺、弟なんだっけ……ばーちゃん、“実の母親”ってか?」
「ごめんって───“甥”って言ったら、めんどくさいじゃん…」
「“甥”って、めんどくさいんだ?」
「いや、そーじゃなくて、年が近いから、色々説明するのが…さ……」
郁生くんと肩を並べながらの帰り道。
「ふぅん?」と水溜まりを避けながら、郁生が小さく笑った。
「郁生くんのこと説明するには、爆烈ねーちゃんのこと話さなきゃなんないでしょ。
我が姉ながら、『あ~~……』って感じで」
郁生くんがピタッと止まった。
傘で表情が見えないので、
「あっ! ごめんね! 郁生くんにとってはお母さんなのに……」
慌てて、取り繕おうとすると───……