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真兄様が元服されてから、
一緒に過ごせる時間がそれまでに比べたら極端になくなっていた私達。
姉様はとっくにお嫁にいってしまっていたし、
母上は体の弱い人で、一緒に何かをすることはほとんどなく……。
話し相手と言えば、
乳母のお豊(トヨ)と、お付きの侍女のお悦(エツ)ばかり。
楽しかった城での生活も一変し、
─── 十四歳になった私は、少し淋しい日々を過ごしていた。
あたたかな日射しの降り注ぐ、ある春の日。
こっそり尊影兄様の目を盗んで、
私のところへ遊びに来てくれた真兄様。
「あまり構ってやらないと、拗ねちゃうからな」
……と、冗談めかして笑いながら、
「今は桜が綺麗なんだ。一緒に花見をしよう」
私を遠乗りに連れ出してくれた。