城に戻って二年経った年の秋、
杏姉様が十七歳で嫁いでゆき……

さらに三年後、
私が十一歳になった年、

真兄様は、十五歳で元服を迎えられ、名を『政尊(マサタカ)』と改められた。


新しい名前はまるで違う人のようで、何だかくすぐったくて、

……私は変わらず、幼名の『真兄様』のままで呼んでいたけれど。


元服されてからは、今までのように自由に過ごすことも叶わなくなり、

私は真兄様が側にいないことに、淋しさを覚えた。



そして時は流れ────



私が十四歳、

真兄様が十八歳。


桜の花が咲きほころぶ美しい季節。