ようやく、母上と共に、父上や兄・姉達の暮らす城へ戻ったのは、私が六つになった時。


私は、そこで自分の血の繋がった兄姉と、初めて目通りが叶った。


兄上や姉上と会う前日の夜は、嬉しくて嬉しくて、緊張して眠れなかった。


城へ上がったその日、喜びに胸を膨らませた私を迎えてくれたのは、


すでに元服を迎えられた嫡男・尊影(タカカゲ)様と、

優しく気丈な、御歳十五になられる姉上・杏(コウ)姫と、


───そして、もう一人。


幼名(ヨウミョウ)は『真之丞(シンノジョウ)』。


通名(ツウミョウ)“真”、歳は十。


同じ父母の血を分けた、私の二番目の兄上。


………なのに。




目通りの間で、面(オモテ)を上げた私は、

──── 一瞬で、目を奪われてしまった………。