『お母さんに電話掛けたら、「郁が連絡なしで遅い」って騒いでたから……。

何かあったの? 郁、帰ってきた?』


「…………」


『もしもし? トコ?』


「よーこ……ちゃ……っっ………」


『トコ? もしもし?

───……トコ、……泣いてるの……?』




瑤子ちゃんの声を聞いたら、ふと気持ちが緩んで、


悲しくて、悲しくて

───愛しくて。


あたしの心の悲鳴が、涙となって溢れてくる。



でも……例え、どんなに泣いても、


この涙が、あなたに届くことは、

───恐らく ない…………