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「うわ…ツイてない……」
バイトを終えて帰ろうと思ったら、パラパラと雨が降ってきた。
3月の雨はまだまだ冷たい。
「あれー? 真鍋さん、帰らないの?」
事務の大磯さんに声を掛けられる。
「予報を信じるべきでした~…降ってきちゃいましたよ……」
「あ、ホント。───ねぇ、佐藤くーん! 今日車で来てたっけー??」
向こうで休憩を取っている、一つ年上の佐藤さんに、手を振りながら呼び掛けてくれる。
「あー…俺、車で来ましたけど、もう1単元残ってるんすよねー」
佐藤さんは缶のミルクティーを飲みつつ、こちらにやって来た。