★    ★


「うわ…ツイてない……」


バイトを終えて帰ろうと思ったら、パラパラと雨が降ってきた。


3月の雨はまだまだ冷たい。


「あれー? 真鍋さん、帰らないの?」


事務の大磯さんに声を掛けられる。


「予報を信じるべきでした~…降ってきちゃいましたよ……」


「あ、ホント。───ねぇ、佐藤くーん! 今日車で来てたっけー??」


向こうで休憩を取っている、一つ年上の佐藤さんに、手を振りながら呼び掛けてくれる。


「あー…俺、車で来ましたけど、もう1単元残ってるんすよねー」


佐藤さんは缶のミルクティーを飲みつつ、こちらにやって来た。