「───………」


あたしは、昼間の出来事を思い返し───不安になった。


まさか、……まだあそこにいる……なんて、ないよね……


だって、あれから優に8時間以上経っている。


「ケータイ、かかるけど出ないの?」


「ううん。『電波の……』ってヤツになるの」


……じゃあ、電源切ってるのかも……。


「ま……まぁさ、高校生なんだし、日付変わっちゃった訳じゃないし。

───ほら、友達と夕飯食べて、盛り上がってんのかもよ?

バイト始めると、遊べなくなるし!」


「郁……夕飯いらない時は、必ず言うんだけど……」


母親がケータイとにらめっこしながら、心配そうに呟く。


「まぁ、もう少し待ってみたら」

と促しながら、……あたしは最後に付け足した。



「あ、お母さん。これからちょっとレンタルショップ行きたいんだ。

───車、借りてもいい?」