この電車は一体どこに行き着くのか、と聞かれ……


海沿いを走るこの路線は、

終点まで行き、
その駅が始発となる別の路線に乗り換えると、

ちょうどぐるりと一周するような形で、スタートの駅に戻ってこられる。


多分、時間にしたら5~6時間。



────そんな話をすると、郁生くんは、


「いいね! ちょっとした小旅行。面白そう」


と、意外にも悪戯っぽそうに、ノッてきた。


あたしはともかく……

制服なのに……

いいのかなー……

と、心配したけど。


「大丈夫でしょ。逆にオドオドしてる方が怪しいし」

と、そんなことを言ってのけた。


あたしといえば…

勿論、久し振りのこの心地好い時間は、正直嬉しい訳で………。


「戻ろう」とは言えず───現在に至っている。


─────…………