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「あー! 海! キレー!!」



ボックスシートから窓の外を眺めながら、

あたしはようやく見えてきた海にはしゃいでいた。


子供みたいなあたしを見て、郁生くんがクスクス笑いつつ、


「………次の駅で降りる? せっかくだから」


「やった! 行こー!」


あたしは潮風の香りを胸いっぱい吸い込みながら、

久々の海に心をときめかせていた。