★ ★ 「あー! 海! キレー!!」 ボックスシートから窓の外を眺めながら、 あたしはようやく見えてきた海にはしゃいでいた。 子供みたいなあたしを見て、郁生くんがクスクス笑いつつ、 「………次の駅で降りる? せっかくだから」 「やった! 行こー!」 あたしは潮風の香りを胸いっぱい吸い込みながら、 久々の海に心をときめかせていた。