「母親があんな感じなのは、生まれてからずっとの付き合いだから、慣れてる。
ばーちゃん世話焼きだから、面倒かけちゃうのは申し訳ないけど、両親のことはあまり心配してない。
二人とも能天気だけど、生きる力はあるから、どうとでもやってくでしょ。
新しい環境になるのは、高校入ったら皆同じだから、別に特別なことじゃない」
────大人……。
あたしは中3にして悟りを拓いたような出来過ぎ回答に、感心せざるを得なかった。
姉の遺伝子じゃないことは、間違いない……。
てか、反面教師ってヤツなのかな?
「なにか困ったことあったら、言ってね」
そんなあたしの気遣いの言葉に、
「トーコさん、心配ばっかり。老けるよ」
「“叔母”って言っても、5歳しか変わらないでしょーがっ!!」
ドカンッ!と噴火状態のあたしを見て、
郁生くんが、初めて───年相応な顔で、声を上げて笑った。