まだ笑われていることを気にしつつ、
「じゃあ、あたし行かなきゃいけないから……」
ちょこん、と頭を下げて、
改札ではなく、大学と反対側の駅出口に向かおうとする。
「……電車、乗るんじゃなかったんですか?」
すかさず、ツッコまれて、
「あー……そのつもりだったんだけど………」
「おねーさんも、カレシと待ち合わせ?」
ニッコリ笑って、そんなことを言われた。
………“も”………。
「……そんなとこ。じゃあ………」
さっきのふざけた会話を、どうして“彼氏”だと思ったのかは謎だけど。
いちいち説明するのも面倒くさくて、あたしはあえて“そういうこと”にしておいた。