「………安西、もう少ししたら、ここに来ますよ」
「そう……」
「これから、バイトの面接、一緒に行くんで」
「バイト……そう」
最近まともに会話していないあたし。
郁生くんがバイトを始めようとしていることなど、知らなかった。
5つも年下の女のコを目の前に、
こんなに恐縮している自分が、滑稽に思えてくる。
「か……彼女と一緒にバイトなんて、郁生くんもやるなぁ」
愛想笑いを浮かべながら、あたしが年上ぶってそんなことを言うと、
「────………」
彼女が、じぃっ…と、
穴があきそうなほど、あたしを見つめてきた。
「………あのー……?」
その強い視線にタジタジして、あたしが首を傾ぐと……
────タイミング良く?悪く?
あたしのケータイが鳴った。