─────…………


6月も後半、蒸したり、でも雨が降ると妙に冷えたり、

気温の上がり下がりが激しくて、スッキリしない。


憂鬱な気分に拍車をかける。


あたしは帰りがけに、大学の最寄り駅内の文具店に立ち寄っていた。



「ルーズリーフ……と、…あ、シャーペンの芯………」


買う物を思い返しながら、カゴに入れ、───なんとなく顔を上げると、

ふ……と、向こう側の本屋にいる女のコと………目が、合った。



そう────“杏崎未桜”…


その一瞬で、「大学のライフセンターに寄れば良かった」と後悔した。


同じ駅を利用してるんだから、

いつかこうやって出会ってしまうことはあるだろう、とは思っていたものの。


実際、こうやって目の前にすると、動揺が………。


でも……そう、別に顔見知りな訳でも、

郁生くんから面と向かって紹介された訳でもないんだから。


声掛ける必要も、挨拶する必要もないよね……。


あたしはとっとと文具の会計を済ませて店を出ると、

駅の改札へ向かった。



……………のに、