………そう、多分、気のせいじゃない。
郁生くんが───あたしと話してくれなくなってしまった。
両親がいるところでは、普段と同じ。
でも……ふと、二人になったり、家の中ですれ違ったりすると、
以前は声を掛けてくれたのに。
軽口で笑い合ったりしていたのに。
なんだか、まるで避けられてる、みたいな………。
この前の一件があって、
普通に会話するのは、きっと今のあたしにとっては、ちょっとツライ。
なのに、郁生くんと全く話せなくなってしまったことが、こんなに寂しいなんて。
勝手な自分に呆れつつ……、
かといって、郁生くんにその理由(ワケ)を聞くことも出来ず……、
あっという間に、衣更えを過ぎ、
季節は梅雨に差し掛かっていた。