………そんなあたしの腕を、



「────トーコさん!」


郁生くんが、慌てて捕らえる。



「な……なに?」


「…………」


「…………」


何かを言いかけて、───それでも

口をつぐんだ郁生くんは、そっとあたしの腕を離した。


「………?」


「ごめん……このまま寝る……。

……ブレザー、リビングに置いといてもらってもいい……?」


「あぁ───うん、分かった。おやすみ……」


「おやすみなさい………」


そのまま、後ろ手にドアを閉め、

───自分の部屋に入った途端、

足の力が……抜けた。



否定……しなかった……


……“彼女”………