あれから一体何時間が経った?


あたしの体は動くことを忘れ倒れ込んでいた。


「柚那、今日も可愛かったよ。また後でヤルからそのままでいいよ。」


そう言って不敵な笑みを浮かべながら出ていく男


あたしは何も出来なかった。


そんな時に気づいたのは多くの気配だった。


時間帯は分からないけど、長年の間に研ぎ澄まされた感覚は鈍ることを知らないようだった。


コツコツコツ


誰かがこちらへ近づいてくる。


でも足音的にあいつではないことを悟と、あたしは落ちていた服に袖を通した。


着替えが終わると同時に扉が開けられた。


カチャ


入ってきたのは聖奏だ。


「聖奏…」


「なぁ、この気配感じてるんだろ?」


そう訪ねてくる聖奏にあたしはただ頷いた。


「戦争が始まるよ。本当は2組の予定だったけど、柚那の騎士も加わるみたいだよ。」


「慶が…?」


「そう、弘毅達もね。卯月ちゃんだっけ?あの娘のとこも来てるよ。総長は気づいてないけどね。」


そう言って話し出す聖奏は寂しげで、少し涙目だった。


「聖奏、ここから逃げよ?」


「え?」


「あたし達の神紅においでよ。聖奏ならみんな受け入れてくれるから。」


あたしは不意にそう言っていた。


「柚那…」


でも聖奏は首を縦には振ってくれなかった。


「ごめん。」


聖奏から返されたのはその言葉だけだった。


そんな時


ガシャン


戦争の開始を告げるようにたくさんの気配が倉庫の中へ入ってくるのを感じた。