柚那と卯月ちゃんが拉致られてから数日
俺らの元に1本の電話が鳴り響いた。
「聖奏…」
弘毅さんは携帯を見てそう呟いた。
「もしもし。」
話しながら部屋を出ていく弘毅さん。
俺らは何も話さないままずっとそこにいた。
ここ最近は柚那が心配でろくに眠れない毎日
寝ても必ず数分で目が覚める。
大切な人が居ない環境ってのはこうも落ち着かないものなんだな。
伊月の奴もずっとパソコンと睨み合ってるがいっこうとしてなんの手がかりも出てこない。
カチャ
しばらくして弘毅さんが電話を切って部屋に戻ってきた。
「よく聞け。卯月だけが開放された。」
その一言にはその場に居る誰もが驚いた。
「だが、柚那は倉庫の中だ。」
その言葉を聞けばまたすぐに雰囲気が暗くなった。
ただ一人を省いては…