あたしは一言を告げると教室を出ていつもの空き教室へと足を進めた。
頭によぎったのは昔の思い出
あたしがいてあいつが居る
当たり前だったはずのあの風景
あいつがあたしに託してから何年が過ぎたかな?
「柚那、俺が戻るまでここを支えてくれ。そして、俺が戻ったら…ここの姫になってくれ。」
あいつからの小さな別れのプロポーズ
もうそれも昔のこと
あいつはきっと忘れてるよね。
そんなことを考えているとあたしの携帯が震えていた。
取り出して画面を操作し確認すればそこには卯月の文字。
でも出る気にはなれなかった。
そして電話は時を過ぎれば切れた。
次に来たのはメールだった。
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from 卯月
題名 無題
本文
ゆずちゃん、大変!
すぐに戻ってきて!
慶君が!!!
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慶…
あいつの名前
でも大変って?
とりあえずあたしは教室に戻ることにした。