慶がこの世を去ってからもうすぐで半年が過ぎようとしていた。
最初はボロボロになっていたあたしも少しは落ち着きを取り戻し、少しずつだけど受け止められるようになった。
そんなあたしももうすぐ19になる
そして今あたしは1件の家の前に由唯を抱きながら立っていた。
神城と書かれた表札
そう、慶の家
ピーンポーン
ゆっくりとそのインターホンを鳴らせば中から慶のお母さんが出てきた。
カチャ
「あら柚那ちゃん、由唯くん、いらっしゃい。」
「ご無沙汰してます。」
「いいのよ、ささ入って入って。」
そしてあたしは家の中へ入った。
昔はここに慶と一緒に来たっけ?
少ししか時は経ってないのにどこかとても懐かしく思えた。
「今日は呼び出しちゃってごめんね。忙しかったでしょ?」
リビングに通されるなり慶のお母さんにそう言われた。
「大丈夫ですよ。」
「だぁ、だぁ。」
最近少しずつ話始めた由唯
成長する度に慶の面影が見えるようになってきた。
「由唯くん、だいぶ慶に似てきたわね。」
「はい。まるでここに居るかのように思う時があるんです。」
「抱っこしてもいいかしら?」
遠慮がちに聞いてくる慶のお母さん
「はい、慶のお母さんからすれば孫なんですから抱いてやってください。」
「ありがとう、柚那ちゃん。」
そう言って慶のお母さんはゆっくりと由唯を抱き上げた。
その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。