「あー、学食混みすぎ。ね、やっぱり、教室で食べよう?」


学食入口の前で、立ち往生。
私は人の多いところはちょっと苦手なのさ。


「いやよー、今日の日替わり定食、ロースカツなのよ?食べるしかないじゃない!」

鼻をフンと鳴らし、興奮気味の遠子ちゃん。

あ、わかったよ。わかったからさ。


「郁子!席とってあげた!一緒に食べよう!いくこ!」


ふっと、掴まれた手首。


「は、は?」


目の前には、橘さん。


「いや、私学食混んでるから、食べない。」


代わりに、遠子ちゃんが行けばいい。



「いくこ!いくこ!いこいこいくこ!」


なんか、ぎゃぐなのか、コールなのか。
わかんないやつ。ぎゃぐだったら、面白くなさすぎて、ぶっ飛ばしたくなるやつ。



「えぇ?!橘、席とってくれたの?神!マジで神!橘にも、日替わり買ってきてやんよ☆☆☆」



あ、流れ星。じゃなかった。
てか、橘さんのことだからな。

どうせ2席とかしかとってないんだろうな。うん。よし、教室戻ろう。



私は人混みの中に紛れ、何とか食堂を出た。