告白する前に彼氏の有無くらい確かめとくのは常識だろ、なんて。
自分を促してみてもどうしても言葉にはならなくて、結局、出てきたのは小さなため息。
「……や、ごめん。なんでもない。またあとでな」
────好きだと告白するわけじゃないのに。
『最近彼氏でもできた?』とか。
なんでもいいから、それっぽいことを軽く訊けばいいだけなのに。
きっと他の誰にだってできる、たったそれだけのことが、三浦相手だと途端に難しくなる。
情けないくらい。
不思議なくらい。
今まで知らなかった、臆病な自分が出てくるんだ。
好きなやつの前でこそ、そういう弱いとこは見せたくないのに。
上手くいかないもんだな、と心の中でひとりごちながらグラウンドに戻ろうと三浦に背を向けようとした。
……そのとき。
「お祭り、楽しみにしてるね……っ!」
聞こえたのは、本当にそう思ってくれているのが伝わってくるような、心のこもった声。