悲しそうな笑顔を向けられて、涙を浮かべてもなお綺麗な表情に、不覚にもドキリと胸が鳴った。
「水原くんだったら、あんなふうに突然私のことを裏切ったりしないよね。きっと、いつだって優しくしてくれるよね」
雫さんは、貴弘さんに裏切られたと感じているようだった。
……仕方ないよな。
人の気持ちが変わってしまうことは抗えないとしても、貴弘さんの場合はあまりにも突然だったし。
俺から見たら、別れの気配なんて微塵もなかったし。
雫さんがそう感じても、無理はない。
「……そうだよ。水原くんとだったら、私も幸せになれる。そうだよね?」
「……え?」
突然、グッとTシャツの裾を掴まれた。
「私たち、似たもの同士だもん。好きな人に振り向いてもらえない、可哀想な仲間。きっと、誰より分かりあえるよ」
「いや、あの」
だんだん顔が近付いてきてるように思うのは、俺の気のせい、だよな?