そりゃあ、きっとそういう系の話なんだろうなとは思ってたけど。

実際に言葉にされるのと想像するのでは、受けるダメージが全然違う。


それにいつもの三浦からは、そういう雰囲気を全然感じないから、余計にショックだったんだと思う。


俺が知る限り、きっとあいつはまだ誰とも付き合ったことがなくて。


────触れたら、意外なくらい細くて小さな手も。

近づいたら信じられないくらいの甘さを帯びて、鼻腔を刺激する香りも。

温かくて、柔らかい、体温も。


きっとまだ、誰も触れたことがなかったはずだったから。



「……それって、いつ、ですか?」


そんなことを訊いてもどうしようもないとわかっていながらも、それでもやっぱり気になるものは仕方なかった。


「海に行った次の日、かな」

「次の日……!?」

「私はもうフラれてたから、たぶん、全然悪いことじゃないんだと思う、けど」