桂「なんだい?」




雅「もう行かないと...」




桂「私を置いていけるのかい?」




雅「だったら桂さんが、先に....」




桂「私にそんなことはできないよ。」




ゆっくりと雅の輪郭をなぞると




穏やかに微笑む。




雅「じゃあ....私が先に.....」




笑ってはいるが様子のおかしい桂に




雅の頭で警戒音がなる。




桂「逃がさないよ....」




雅を抱き寄せると後手に縛り上げた。




雅「何を‼︎」




桂「もっと君の形見が欲しいんだ...」




雅「やめて...」




桂「知ってるかい?吉原では愛の証に小指や爪を送るそうだよ...」




微笑見ながら小刀を出す。




雅「やだ...」




桂「恐怖に顔が歪んで涙に濡れた君のまつ毛は私の心を掴んで離さない...」




雅の前に座ると小刀を見つめた。




桂「少しずつ傷をつけてその体に私の名前を刻むのも悪くないね...」




雅「....」




桂を見ながら雅は縄抜けをしていた。




雅「すみません...」




どんっ‼︎‼︎




桂を突き飛ばすと襖を開け放ち




廊下に飛び出す。




桂「そうはさせない。」




桂は雅の着物の裾を掴むと引き寄せた。




雅「あっ‼︎」




廊下に出た所で躓き倒れると




迎えに来た土方が歩いてきた。




土「何やってんだおめぇは。ガキじゃねぇんだから転ぶな。」




雅「土方‼︎」




土「あ?つーか髪どうしたんだよ‼︎」




切羽詰まった様に名前を呼ばれて




雅を見ると光る物が視界に入る。




土「桂...てめぇ何してんだ。」