学校はイヤじゃない。
仲の良い友達も何人かいる。

勉強だって
それほど、嫌いって訳じゃあないし

まぁ、そこそこ
楽しんでる
と、
思う。

そこそこだけどね。
退屈だった冬休みも
あっという間に終わって

始業式みんなの顔を見たら
やっぱ嬉しかった。

年が明けたっていっても
みんな変わんないじゃん。

当たり前だけどね。

何にも変わんない毎日が
また始まるだけ。



特に何かに不満が
ある、って訳じゃないんだ。

ないんだよ。

だけど

何かちょっと物足りない……
て言うか……

何かが欠けてるって言うか……

上手くいえないんだけど

そんな毎日を送っていたんだ僕は。







「ごめん、忘れ物取ってくるから
先に音楽室行っててよ。」

クラスメイトにそう言って
僕は次の授業がある
音楽室には向かわず
また教室へと戻った。

ーーー急がないと遅れちゃうな

急いで教室に着くと
窓側の列にある
僕の机へと向かう。

もう誰もいないと思っていた教室には
僕の真後ろの席にだけ一人残っていた。

机に突っ伏して寝ている彼は
いつだって特定の誰かとつるむでもなく
休み時間にはいつもこうして机に突っ伏して
眠っているか
難しげな本を読んでは
時々、窓の外をボーッと眺めていた。

だけど特に寂しそうとかって
いうのでもなく
寧ろ、一人を好んでいるように見えた。
楽しんでいるように見えた。

そんな彼は当然、
クラスではちょっと浮いた存在だったけど
僕は嫌いではなかった。

と、言うより
彼に興味を持っていた。


相変わらず机に突っ伏したままの
彼に目線を送りながらも
忘れ物をしっかりと手に持ち
急いで音楽室に向かおうと
したけれどーーー

「ねぇ……行かないの?
音楽室に。」

何となくこのまま行くのもなぁって
だから、声を掛けてみた。

だけど彼は
突っ伏したまま
ピクリとも動かなかった。

「ちょっと、音楽の授業始まるよ。」

さっきよりももう少し
ハッキリとした声で言ってみる。

けれどやはり
反応なしなので
もう行こうって立ち去ろうとした時ーー
「お前さーーー」

突然、突っ伏したままの彼が
話し出した。

「えっ?」

「お前さ、何で女なのに
いつも自分の事、僕って言うんだよ。」

「はっ?」

突っ伏したままだから
少し声がこもってるけど
確かにそう聞こえた。

「何でって言われても……。」

突然の事で上手く声が出ない……。

そもそも何でって言われても
僕は僕だから特に意味はない。

私でもなく俺でもなく
一番しっくりくるのが僕ってだけで……。