…昨日、なんか勢い余って、あんなこと思っちゃいましたけど。

よく考えたら、ぶっ飛びすぎじゃね?

『大切な人になりたい』って、何?

あたし、池谷くんのことが好きってこと?

え……好き…?

まじで……?

ベッドの上で自問を繰り返してから、あらゆることを考えてみる。

そして、ブンブンと首を横に振った。

…いやいやいやいや。

いくらなんでも決断が早いわ、あたし。

確かに、あんなに真剣に話を聞いてくれて、いい人だと思った。

素敵な人だとも、思った。

でも……本気で恋ができるか、って、訊かれると。


「…………」


洗面台の鏡の前に立って、可愛くもない自分の顔を見てみる。

……いや、ないわ。

この顔で、性格までいいあのイケメンにアタックしていこうなんて、図々しいにもほどがあるわ。

…なーにいってんだか、といつものように自虐で終わらせようとして、昨日の彼の言葉を思い出した。