「…うんっ」
もう一度大きく頷いたあたしに、池谷くんも頷き返してくれた。
*
「今日はホントに、ありがとうございましたっ」
人通りの少ない、小さな駅の、改札前。
あたしは池谷くんに、ペコっと頭を下げた。
「…相談…のってくれて。なんか、気が楽になったっていうか。ありがとう」
「それなら、よかった」
顔を上げて、ちらりと池谷くんを見上げる。
目があって、何故かドキッとした。
慌てて目をそらして、口を動かす。
「え…えっと…じゃ、じゃあ、あたしはこれで」
「小城さん」
え?
池谷くんの方を見た瞬間、ぐいっと引っ張られた。
目の前に立たされて、耳元に唇を近づけられる。
えっ…なに!?
心臓がすごい速さで脈打ち始めたあたしに、池谷くんは囁くように言った。