「……なに笑ってんの」

「……ふはっ、だって小城さん、見かけによらず意外と詩人っ……」

かぁっと、一気に顔が熱くなった。

さっきまでの自分の言葉を思い出して、やっぱり恥ずかしくなってくる。

「わっ、わかってるよ、言われなくてもー!!クサいこと言ってすいませんでしたぁ!!」

全部受け入れてやるよみたいな顔してさぁ、結局笑うのかよ!

ムーっとしてそっぽを向くと、池谷くんは「やっぱりね」と笑いながら言った。


「小城さん、面白いよ。雨に対してそんな風に考えてる人、初めて」


……これは、褒められてるのか。

そう思いながらも、単純なあたしはちょっと嬉しくなってくる。

『初めて』って言われて、特別感を感じてる、浅ましいあたし。

けど、池谷くんは複雑な気持ちを露わにするあたしを見て、穏やかに微笑んだ。


「……だからもう、小城さんは『普通』じゃないよ」


…ああ、もう。

この人の笑顔は、ホントにずるい。

こんなカッコ悪いあたしでも、いいって言ってもらえてるみたいで。

ぎゅう、と締め付けられる胸を抑えながら、あたしは震える声で「ありがとう…」と言った。