「…みんな、ちゃんと夢があって、スゴイよね」
でも、不安が堰を切ったようにあふれ出してくる。
情けない思いが、口からこぼれていく。
「…あたし、特徴がなんにもないからさぁ。普通っていうか。利乃みたいに可愛くないし、トモみたいに誰とでも仲良いわけじゃないし…」
こんなこと、池谷くんに言ったって迷惑なだけだ。
でも、止まらなかった。
この人なら、馬鹿にしないで、軽く受け流したりもしないで、訊いてくれそうだ、って。
…そう、思ったんだ。
「…進路、どうしよっかなって……悩んで、る」
恥ずかしくて、目を逸らす。
池谷くんは、ずっと黙って聞いてくれていた。
「…………」
自然と沈黙が下りて、やっぱり言わなきゃよかったかなと後悔する。
…こんなの、いきなり言われても困るよね。
どうしようもない、ことなのに。
あたしが自分で決めなきゃ、いけないことなのに。