「……うん」
「俺は、それがなんでか知りたいんだ」
……海を見たら、安心する。
それがどうしてか、ってこと?
黙って彼を見上げるあたしに、池谷くんは変わらず前を向いて、目を細めた。
「だから大学で心理学を学びたい、とは思ってるよ」
……あたしは、びっくりした。
海を見ていると安心する。
それがどうしてか知りたい。
だから、心理学を学びたい…なんて。
そんな風に考えられることに、びっくりした。
「単純でしょ?」
そう言って笑う池谷くんに、あたしはぶんぶんと首を横に振る。
「そんなことないっ。だって、スゴイよ。あたし、そんなこと考えられないもん」
「そう?安直だと思うけど」
ちょっとした興味から、夢に繋げられるってことが、すごい。
すごいっていうか、羨ましい。