「野々村さん…カスタリュギュウス流星群ってご存知ですか?」

俺は、野々村さんにすべてを話すことを決めた。
きっと、信じてもらえないだろうが、美幸のことを知るためには野々村さんの力を借りるしかない。
それだけではなく、もしかしたら、野々村さんの力をうまく使えばこちらから連絡を取る事も…或いは美幸をこちらに呼び戻すことだって出来るかもしれないのだから。



「し、知ってます!
何年前だったかしら?
確か……五年か、六年前にあったあれですよね!
私、あの日は風邪ひいてて早くに眠ってしまって見ることが出来なかったんですけど…
……でも、青木さん…カリスタリュギュウス流星群がなにか?」

「野々村さん、カスタリュギュウス流星群がどういうものか、ご存知ですか?」

「詳しいことは知りませんが、とにかく特別なパワーを持った星で、日本で大きな三つの奇跡が…あ……も、もしかして…妹さんのことにカスタリュギュウスが何か関わっているんですか?」

俺はその言葉に深く頷いた。



「美幸は…三つの奇跡のうちの一つを受けたんです。
野々村さん、今からお話することは信じられない話だと思います。
俺の頭がおかしいと思われるかもしれません。
……ですが、本当のことなんです。
信じてもらえなくても構いません。
信じろという方が無理な話なんですから。
ですが……どうか、俺の話を聞いても、俺の依頼したことをやめないでほしいんです。
今、俺にはどうしてもあなたの力が必要なんです。
どうか、お願いします!」

「えっ!……そ…それはもちろん…
私…どんなお話をお聞きしても…今のお仕事を途中で放り出すなんてことはありません。
それは、お約束します。」

野々村さんは驚いたような顔をしていたが、そう約束してくれたことで、俺は安心して話す気持ちになれた。



「ありがとう、野々村さん。
……実は…さっき、あなたがおっしゃった通り…この物語はおそらく真実だと思います。」

「……どういうことですか?」

「……カスタリュギュウス流星群を見た美幸に…信じられないような奇跡が起こったんです。
それは……美幸の書いた小説の主人公・シュウが現実に現れた…」

「え……あの……」

「あいつは、よりにもよってカスタリュギュウスに馬鹿な願いをかけたんです。
シュウに会いたいと…
それが、実現化され…シュウは実体を伴なって現実の世界に現れた…」

「え………」

野々村さんは、そう言ったっきり黙りこみ、俺の顔をじっとみつめた。