「カズ……ねえ、カズ……カズ!!」

「えっ…!?」

急に聞こえた大きな声に、俺は背中を波打たせた。



「……カズ、一体どうしたんだ?
最近、なんだかぼーっとしてることが多いけど、なにかあったのか?」

「い、いや…なんでもない。
……ちょっと疲れてるのかもしれないな。」

「疲れてるならちょっと休んだらどうだい?
なんせ、カズは僕達みたいに若くないんだから…」

マイケルはそう言って、俺に向かって片目をつぶって見せた。



「……おじさんで悪かったな!」



あの日以来、なんとなく野々村さんのことが気にかかっていた。
彼女の様子を見る限り、きっと、彼女は自分の能力のせいでいやな想いをして来たのだろう。
いや、「自分の能力」というよりは、そのことを誰にも理解されなかったことが彼女を傷付けて来たのだと思う。
誰にも信じてもらえないから、彼女は自分の能力のことを隠し続け、そしてそれがまた彼女の心の重石になっていたということか…

俺もイギリスでルームメイトに出会うまではこういう世界のことはあまり信じてはいなかった。
関心がなかったというべきか…
でも、その後、シュウのことがあって……


(……そういえば、俺がカリスタリュギュウス流星群やシュウのことを調べ、シュウが異世界から来たことを信じると言った時…シュウもとても感極まった顔をしていたっけ…
……信じてもらえないっていうのは、誰にとってもとても辛い事だものな……
本当のことを信じてもらえないのは……)



そんなことを思い出している時に、俺の脳裏に、ふと、あることが浮かび上がり、思わず俺は立ち上がった。




「マイケル、俺、ちょっとでかけてくる!
後のことは頼んだぞ!」

「えっ…あ、あぁ…わかった。」