「ぜひ、また遊びに来て下さいね!」

「あぁ…
ここあちゃん達も俺の世界に来てくれよな!」



なんだ、なんだ?
なんで、ここあちゃん、シュウのことをそんなに見るの?
しかもなんだかうっとりしたような顔してないですか?
その上、がっしり握手なんてしてるのは、なぜなんですか!?

ハヤト君も、カウンターの中から二人の様子をじっと見てた。



(あ…)



そうだ、そうだ。
ここあちゃんは可愛いから当然モテるし、しかも、惚れっぽい性格だから、ハヤト君と結ばれるまでにはいろんなことがあったんだった。
ここあちゃんはハヤト君のことが大好きなくせに、イケメンに誘われるとついフラフラと誘いに乗ってしまって…



(ま…まさか……ここあちゃん、シュウに惚れちゃったんじゃ…)



そんなことになったら、私なんて絶対に負けてしまう!
外見なんて、比べるまでもなくここあちゃんの方がずっと可愛いし、私とシュウはまぁうまくいってるといえばいってるんだけど…
シュウが私で満足してるかっていうと……ちょっと自信がない。

……だって、私は……あっちの方があんまりうまくないし……
好きでもないから、さりげなく拒否っちゃうこともけっこうあって…
ここあちゃんはその点、そっち方面もテクニシャンみたいだから、完全に負けちゃうよぉ~
シュウは私のことが大好きとはいえ、ここあちゃんみたいにちょっとした浮気心がないとは言いきれないもの…




「彼女とは身体だけのつきあいだから…」

なんて、さらっと言われたらどうしよう!?
私はそんなことを受け入れられる程、まだ大人じゃないよ。



あぁぁ…こんな所に来るんじゃなかった…
失敗だ…大失敗だ…!



兄さんと連絡を取る方法はありえないということがはっきりした上に、ここあちゃんのことがあって、私は絶望的な気持ちを胸に、すっかり気落ちして元の世界に戻った。