「大丈夫。陵が星野さんを迎えに行ける準備が出来たら、行けば良いじゃないの」
「でもっ……」
「明るくて、優しい星野さんなら大丈夫よ。馬鹿ね、女の執念は怖いんだから」
そういうと、俺の手を取り、愛おしそうに眺める夢夏。
「あなたのこの手で、幸せを掴みなさいよ。良いわね、私もそんなに想われてみたいな、なんて」
「夢夏…」
「ねぇ、陵が私を信じなくても信じてくれてもいいわ。
でも、私は信じちゃった。
気に入ってしまったの、だから」
にこり、紅くて艶やかな唇を弧に描き、愛しそうに俺を見つめた。
その瞳には、凛とした決意と、泣きそうな感情がうつっていた。
「絶対に。はなさないから、みんなを。手放さないから…
もぅ決めたわ。
私が守る」