「……どうだ、夢夏。
俺が嫌いになったか?」


俺はニヤリ笑い、夢夏を見た。
早く嫌いになってくれ。


心のどこかに夢夏を信頼しようとしているのを押し潰す。

さっき具合が悪くなった夢夏を見て、すぐに体調を崩す萌友が重なって見えたのも押し潰した。


「馬鹿、じゃないの…」

「……ほらな、だから「なんで奪い取らないのよ!!」」


…………あ?


「陵ならっ…陵なら奪い取る資格あるよ?そんなに大切に星野さんを思っていたなら。」

「な…なんだよ」


真っ直ぐ。

真っ直ぐ俺の瞳を見るこいつ。


「…やだなー、こんなに陵が一途なんて。陵の好感度上がりまくりよ。ふふっ…」

「な、…んでだよ?俺なんて結局萌友を苦しめてばっかじゃねぇか!それのなにが「陵。」」


優しい声で俺を呼び、俺の腕から降りた夢夏。

そして、また優しく抱き締めた


ふわり、透明な華の香りがした