言ったらだめなんだよ。






俺の萌友が消えちまう。




ごめん、ごめん。
心の中で謝りながら、萌友の頭を撫でた。

柔らかい萌友の髪。

好きだ。好きだよ萌友。



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「引っ越すんだ、私」

「あ、?」


また部屋に不法侵入したかと思いきや、突然そう言い出した。

まーたおふざけか。


「ふざけてなんかじゃないの!
………パパとママがっ…引っ越すから、陵ちゃん家に挨拶してこいってね…」

「はっ、は?嘘だろ?おい、」


唇を噛み、涙を流すまいと堪えている萌友の肩を掴む。

「やめて…っ」と言った瞬間、萌友から一粒の涙が流れた。


「うっ…陵ちゃあああぁぁんっ…ばかぁーーっ!!!!」

「ごめん…萌友、好きだっ…」

「うっさいよぉー…陵ちゃんが萌友を甘やかすからだよぉっ…
だから好きなんじゃん、
ずっと好きなんじゃー…ん」

「悪いっ。…好きだ萌友」

「うるさいー…変態でツンデレなくせにー…私の体で遊んだくせにっ…

大好きだよ陵ちゃんっ…!!!」

「萌友…」



初めてだったんだ。

こんな泣きじゃくる萌友が。

【好き】を連発する萌友が。


俺の腕のなかにいる萌友が。

消エチマウンダ。






結局、萌友は引っ越した。

親が超厳しくて、将来は病院を継ぐ事になってたんだ。

だから、俺と付き合うのは親からだめだと言われてたんだよ。

【陵君とじゃ幸せになれない】

ってなー…。

あれ以来、女遊びが激しくなった。
責任を追うのは無理なんだよ。
遊びなら責任なんてない。

俺は、萌友以外愛せない。

他の女は信用できねぇ。