初めて紫音君の笑顔を見て思った。
やっぱり、奏夛に似てる。
けれど、まだ私は踏み込まない。


「えぇ。勿論。」


だって、踏み込んで拒絶されたら、悲しくなるし。奏夛には、綺麗に線を引かれている。あっちが心を許すまで、無理に聞く意味もないし。


「おい。」


ぐいっと腕を引っ張られて、視界が変わると、みんながこっちを見ていることがわかった。
まあ、すぐにその視線は椎へと向けられたものと気付いたけれど……。


「今日は急だった。悪いと思ってる。でも来た以上行くしかねぇ。まあ、出発するぞ」

『おー!!!』


掛け声の後にパッと明るくなった周辺。
バイクのライトが一斉につき、みんな顔が、輝いて見えた。


「……椎、楽しみね」

「…あぁ。そうだな。」











そうして私達は、出発した。