『…なんだよ。都合悪ぃの？ やっと手が空いてきたのによぉ』

「そういう訳じゃないけど…」

『俺、今週末、実家に帰るからその前に会えればなーって思ったんだけど…』

　不満そうに言う彼に、深空は「…ごめんなさい」と素直に謝った。彼はとっさに何かをキャッチする。

『…なんかあったのか？』

　彼はついさっきまでの口調とは違い、いつになく真剣な声であった。

「…なんでもないの。会ってもいいけど… 何も聞かないって約束してくれたら…」

　深空の意味深な言い方に、一瞬、雄二の動きが止まる。

（元カレにレイプされたなんて、言えるわけ…）

　気を強く持っていたつもりでも、レイプされたのは深空にとってやはり思っていたよりもショックだったのだ。

『何があったのか知らねぇけど… 俺が慰めてやるよ』

　雄二の優しい声が、彼の今の表情を想像させる。それは、日だまりのような…