あれから約一週間ほど経った、ある夜―

 雄二の携帯は、パッタリと深空からの連絡が途絶えていた。

(おかしいな…)

 合間を縫って何度か彼女の携帯に電話やメールをしたのだが、何の反応も無かったのだ。そして、今もいつもの声が聞けることを期待しながら深空に電話していた。

(…留守電か)

 耳にあてた携帯を離し、電源ボタンを軽く押す。彼女の携帯は、やはり呼出し音すらも鳴らず、すぐに留守電に切り替わってしまうのだ。

(この間、泊まった日からだよな…)

 テーブルの上に無造作に置いてある新聞を手に取り、隈なく目を通す。

(…特にあいつに関する記事はない、か…)

 テーブルの上に置いてある水のペットボトルに口を付け一気に流し込んだ。

 その時、枕元にある充電器に差しっぱなしの携帯が鳴り出す。

(!)

 すぐさまボトルをテーブルに置いて、彼は呼んでいる携帯を手に取る。

(…違った)

 かかってきた相手は予想と違い、彼の口から思わずため息が漏れた。しかし、気を取り直してその電話に出る。

「もしもーし…」

 いつも通り出たつもりだったが、どことなくテンションが低いということを電話の相手に指摘され、少しだけ動揺する。

「…来週な。おぉ、ちゃんと待ってろよ」

 相手を気遣い、電話を切ろうとする時、相手に告げられた言葉に、思わず苦笑いを浮かべる雄二。しかし、それは無下にはできない。雄二も、ちゃんと返事をする。

「…うん。俺もお前のこと… 好きだよ」