静かな病室に一人。

 そんな寂しい空間に、ノックの音が響き渡った。深空はその音にさえも背筋をびくつかせ、音の鳴った方に視線を走らせた。

「失礼します」

 入ってきたのは、とても人相がいいとは言い難い、眉間にシワを寄せた中年の男だった。

「桜木署の浜中と申します。未明の火事についてうかがいたいことがあるのですが…」

「…はい」

 深空は落ち着いた様子で、全てを話始めていた。